当事務所のご紹介(3)
①当事務所のこれまで
当事務所は、開業してから30年以上にわたって、ご依頼頂いたお客様を大切に、 お客様が満足できる特許業務のサービスを提供して参りました。 当事務所の取り扱ってきた技術分野は、 例えば、材料系、装置系、ソフトウェア系、日用品などがあります。
特許出願の明細書作成では、権利範囲のご提案、技術の妥当性の検討、課題・効果の妥当性など、 事務所内で検証し、ご担当者様に質問するなど、丁寧に作業を進めて参りました。
中間対応では、補正書や意見書の作成などについて、有効な権利となるように案を作成してきました。また、審査官との面談も数多く実施して参りました。
当事務所では、手続きの期限の管理をしっかりと行い、出願人様や権利者様に確認を行い、円滑に管理を行って参りました。
商標業務では、出願時の調査、出願、管理に特化したサービスを提供し、 価格増加の要因となる他のサービスを排することで、 他の事務所よりもリーズナブルな価格で高品質のサービスを提供しています。
おかげさまで、お客様からの信頼やご依頼を頂くとともに、事務所の運営を行うことができました。これはひとえに、当事務所を信頼し継続してご依頼をしてくださるお客様のおかけであり、感謝する所存でございます。
②当事務所の特徴
当事務所は、弁理士数名の中規模(もしくは小規模に近い)の特許事務所であり、大規模な特許事務所ではありません。
ですが、このような規模の特許事務所であるからこその強みがあると感じています。
例えば、大規模な特許事務所に比べて事務所の運営費が少なくてすむので、経済的な不安を乗り切ることができる体力があり、安定してお客様をサポートしていくことができます。
顧客の要望に柔軟に対応できますので、納期の対応、予算と品質の調整、ご請求の方法など、ご相談内容に対応して参ります。世の中の変化に柔軟に対応できると考えておりますので、例えば、AIを利用した特許出願の明細書のチェック業務も承ります。
また、担当する弁理士が案件によって変わるということが少ないので、経験を積んだ弁理士が案件に携わり、品質が安定しています。案件によって担当が変わったり、担当が辞めてしまったり、ということが少なく、安心して依頼できるというお声もあります。
自信をもって当事務所をお勧めできると考えています。
③AIによる特許業務の代替について
ここからは、人間が行う特許業務をAIで代替可能なのかについて、個人的な考えを述べたいと思います。
近年、AIの進歩がすさまじい速度で進んでいます。
ニュースや書籍でも知ることができるように、生成AIは、自然な文章、高品質の画像や動画を瞬時に生成でき、その性能は驚くべきスピードで向上しています。企業、行政、教育機関など様々なところでAIを利用する流れが進み、業務を遂行する効率を向上させる取り組みが行われています。
これは、人間の意図を汲み取る機能が向上したこと、より品質の良い出力結果を生成する機能が向上したことなどの理由が考えられます。2000年代以降にAIが注目され始めたとき、知的活動をする人間の仕事はAIで代替できないだろうと言われていましたが、ここ数年で世の中の受け止め方が変わってきており、むしろ、知的活動をする人間の仕事の方がAIで代替しやすいのではないか、と言われるようになったと感じます。
弁理士も例外ではなく、弁理士が行う業務もAIで代替可能なのではないかと言われています。1人の弁理士としての個人的な考えですが、弁理士が行う特許業務は、全てではないけれども、特定の部分はAIで代替可能なのではないかと考えています。例えば、特許調査については、膨大なデータを調べる必要があり、大量の先行技術に対して似た技術を見つける必要がありますので、このような処理はAIの方が勝ると考えます。
特許業務のメインでもある、特許出願の明細書を作成することについては、AIで代替可能なところが多いと考えられます。
発明の内容を聞き、明細書を作成する(図面の作成を含む)という作業は、最近のChatGPTなどを見ますと、人間に近いもの、もしくは人間よりも優れたものができる可能性が高いと推測します。
明細書を作成する業務では、例えば特許請求の範囲で、独特な文章を作成する必要がありますが、最近のAIのモデルでは”自然な”文章を生成していると感じます。
ここでいう”自然な”とは、人間の弁理士が作成する文章のほか、人間の弁理士が行う上位概念化や明確性の担保など、人間が特許請求の範囲を記載したときと遜色のない内容を指します。以前のAIのモデルでは、特許請求の範囲の記載は、かなり”不自然”でしたが、どんどん”自然な”記載になっていると感じます。
特許には様々な技術分野があり、全ての技術分野で、明細書の作成がAIで代替可能であるとはいいきれませんが、これから確実にAIの利用が進むと考えます。
AIは真偽の不確かな情報をあたかも真実であるかのように生成する場合がある、という問題が知られています。特許出願の明細書は技術書としての意義もあり、技術的な正しさが求められますので、AIの利用には慎重になる必要があります。
ですが、AIの性能が向上し、利用や開発をする側の人間の理解や知見が進むことによって、このような問題を解決するための手段が提案されていくのではないかと思われます。
そのため、特許調査のほか、特許出願の明細書の作成などの特許業務については、確実にAIの利用が進むと考えます。
④これからの特許業務
このような状況で、人間の弁理士はどのようなことを行っていくべきなのでしょうか。 また、AIよりも優位なところはどこか、AIと比較したときに人間の存在意義は何かなどを考える必要があると思います。
これらについては、例えば人間の弁理士は、特許出願の明細書を作成するなどの枠から外れた判断やアドバイスができる、といったことが挙げられるかもしれません。
例えば、場合によっては、特許出願をしない方がよい場合もありますし、開示内容を制限したり、複数の出願にしたり、補正や分割を考慮した明細書にしたり、実用新案登録出願の利用など、他の法域での保護を狙ったりする、などの判断をすることもあります。
このため、柔軟な対応ができるといったことなどが人間の優位なところであると考えられます。その他にも例えば、AIにより生成されたものを所定の観点でチェックし、依頼者の意図に沿うような修正案を作成するなど、柔軟な対応が求められるような仕事は人間の方が向いているのかもしれません。
これらのことも、そのうちAIでもできるようになるかもしれませんが、AIの調整に手間や時間がかかると推測されますので、定型的な作業とは外れるものについては、人間の方が安く、速く、品質良くできると思います。
少し妙な言い方になるかもしれませんが、人間はAIにできないことができるといったことが言えると思います。
ただし、AIにできない高度な知的作業を行うには、経験や研鑽を積んでいくことが必要なのではないかと考えます。AIにより生成された誤った技術情報を見抜き、正しい情報に修正するには、経験や研鑽が求められると考えます。
AIとの対比により、人間について、例えば人間が無意識に行っている思考のプロセスなどについて理解が進み、人間の優位性についての発見や、人間の進むべき道などの発見が期待されます。当事務所では、このような発見を参考にして、これからの特許業務をどのようにしていけばよいかを考え続けていきたいと思っています。
長年、特許業務を営んで参りました当事務所が提供できる優れたサービスは何かを再定義し、磨きをかけていくとともに、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
当事務所は創業以来、知的財産の保護や活用の観点から、特許業務などを誠実に行い、お客様をサポートして参りました。これまでに蓄積したノウハウを活かし、これからも引き続き誠心誠意行っていくとともに、良質なサービスを提供していきたいと考えています。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
今後も、当事務所の紹介、特許の説明、世の中のことや特許を取り巻く状況など、 個人的な考えも交えて情報発信ができたらよいと考えています。
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